ドル/円相場は、79円台を中心に揉み合う展開になっている。ギリシャ政局を起点とした欧州不安が円高圧力に直結する構図に変化は見られないものの、それは同時に円高圧力にもなっていることで、ドル
円相場は明確な方向性を打ち出すには至っていない。円とドルがともに退避需要の引き受け先として機能していることが、決め手難の相場環境を作り出している。
5月23日には日銀金融政策決定会合が開催されたが、政策金利は0.0~0.1%で据え置き、資産買い入れ等基金は70兆円で据え置きとなり、特に政策の変更は行われなかった。前回会合で追加緩和策が行われたばかりとあって、今会合では政策効果を見極めるスタンスになっている。これは概ね市場コンセンサス通りの結果と言えるが、マーケットは円買い・ドル売りで反応した。現実には追加緩和策が導入される可能性は殆どなかったものの、できればコンセンサスを裏切って欲しいとのサプライズ期待があったことが確認できる。28日には、4月27日に開催された金融政策決定会合議事録が発表されたが、「物価安定の下での持続的成長経路に服する蓋然性が高いとみられるが、依然としてさまざまな不確実性があることを踏まえ、そうした見通しをより確かなものとするため、この段階で金融緩和を一段と強化する」と追加緩和の流れが再確認できる。ただ、米国でも量的緩和第3弾(QE3)の可能性を指摘する声が強まる中、金融政策環境は決め手となりづらい地合が続く見通し。6月1日の米雇用統計で、次はドルサイドの動向が注目され易くなる。
欧州に関しては、ギリシャで財政再建派の支持が拡大しているとの世論調査もあり、ユーロ売り圧力が鈍化している。ただ、まだ再選挙まで3週間が残されていることもあり、本格的にユーロを買い進むような動きは想定しづらい。スペインの地方政府で資金調達難が報告されるなど、ギリシャ以外でも問題が浮上していることを考慮すれば、リスク回避の流れが本格的に巻き戻されるのかは疑問視される。
今後1週間の予想レンジは、78.50~80.00円。